2014年御翼5月号その4

百貨店王ジョン・ワナメーカーの成功の方法

ハウの原点はフウにあり
 「百貨店王・ワナメーカー」の名前は、日本でも有名である。「石油王・ロックフェラー」や「ホテル王・ヒルトン」たちと並んで、アメリカの最も成功したビジネスマンの一人として、サクセス・ストーリーに必ず紹介される人物である。だが、ロックフェラーやヒルトン同様、ワナメーカーもクリスチャンであり、「聖書を土台にして人生を築いた人」であることは、あまり知られていない。しかも彼らが成功した秘訣は、「聖書の言葉を文字通りビジネスに適用した」という単純な真実を知る人は、殆どいない。
日本人は外国から良いものを輸入して、それを活用することにおいては天才的な能力を持っている。けれどもほとんどの場合、それはあくまでもハウ(how方法・テクニック)の活用に限られ、どのようにハウが生み出されたのかの「原点」までは探ろうとはしない。だから、あの手この手の方法を追いかけているうちに、自分自身を見失ってしまうことが多いのである。成功の方法(ハウ)は、自然に生まれたのではなく、必ずそれを作り出して成功した人物(whoフウ)がいる。「どのような人物(フウ)が、どのようにして、成功する方法(ハウ)を作り出したのか?」これを知ることこそが、最も意味あることであり、最も感動することであり、最も影響力を持つことである。私にとってワナメーカーは、「アメリカの有名な成功者の一人」に過ぎなかった。本書を読んで、ワナメーカーが、「聖書を土台として真剣に生きることによって、とてつもない成功を達成した人物」であることを知った時、心の底から感動し、「私も彼のようになりたい!」という強烈な願いを持った。ワナメーカーという「人物を造った方」、そして彼が人生の土台とした「聖書を造った方」は、万物の創造主なる神である。すべての方法(ハウ)の「究極の原点」は、万物の創造主・全知全能の神(フウ)なのであり、神の言葉である聖書なのである。神の最大の関心は、人間を救って「神の人」にすることであり、「神の人」を造り上げて、「神の使命」を実現させることである。万物の創造主が造り上げる「神の人」のいくつかの特徴を、ワナメーカーに見ることができる。

  1. 神の言葉である聖書を信じ、いつも生き生きとしている。
  2. 小さなことに忠実であり、どんな仕事にも努力を惜しまない。(マタイ25・21「お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』)
  3. 相手を心から愛し、相手に誠実に仕えている。(ペトロ第一4・10「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。」)
  4. 常に新しい発想が浮かび、何事にもクリエイティブである。
  5. とてつもなく壮大なビジョンを持っている。
  6. 困難に立ち向かう大胆なチャレンジ精神にあふれている。
  7. いかなる障害をも粘り強く乗り越えていく忍耐力がある。(へブル12・7「あなたがたは、これを鍛錬として忍耐しなさい。神は、あなたがたを子として取り扱っておられます。いったい、父から鍛えられない子があるでしょうか。」)

 これらは創造主が持っている特質であり、聖書の言葉そのものでもある。今、ワナメーカーのような人物が日本に十人現れたら、日本だけでなく世界が大きく変わるに違いない。 
 佐々木 満男(国際弁護士)
 ジョン・クゥアン『世界初、史上最大の百貨店王 ジョン・ワナメーカー』(小牧者出版)より
 私たちは買い物をするとき、どこの店でも同じような価格で買えて、通常は返品や交換ができる。しかしこれは、ジョン・ワナメーカー(十九世紀の米国人実業家・政治家)によって始められた原則である。当時、衣料品業界では価格を表示しないのが一般的で、品物を買う人も売る人も、互いを信じることができず、いざこざが絶えなかった。ワナメーカーは、「定価販売制度」を導入し、更に、購入した品物に満足いかなければ、お金を「百パーセント返金」するとした。他のビジネスマンの立場から見ると、利潤追求とはあまりにもかけ離れていたが、神と人とに仕えるワナメーカーはそれを制度化した。その動機となったある出来事がある。ワナメーカーが少年時代、母親から買い物を頼まれたとき、色の違う糸を買ってしまったことに気づき、交換を求めても意地悪な店員が応じてくれなかったことがある。そのときワナメーカーは、「ぼくがお店の主人だったら、いつだって喜んで商品を取り替えてあげるし、お客さんに親切にしてあげるんだ」と誓ったという。
 ワナメーカーによる、成功の七つの習慣は、1.朝型人間 2.肯定的な人生の態度 3.節約して貯蓄する習慣 4.読書する習慣 5.祈る習慣 6.メモして整理する習慣 7.ほめて励ます習慣、である。彼は、朝起きるとすぐに、最初の三十分を聖書の黙想に投資し、その時に与えられた御言葉の通りに、一日を生きようと努力した。また、彼は百貨店を建てる時、祈祷室を別に作ったが、外部へ音が漏れないように完全防音にした。彼は出勤するとまず祈祷室に入り、神様に会うことから百貨店の仕事を始めた。ワナメーカーは、世界日曜学校連合会の総裁に選出された後、世界日曜学校大会で次のようなメッセージを伝えた。「日曜学校で学んだ聖書の教えが、私の一生の基本的な教育になりました。私はこの世の教育をほとんど受けられませんでした。しかし日曜学校で聖書を勉強し、その時間は私の人生で一番楽しい時間でした。また聖書によって、私の人格と事業を建て上げる努力をしました。そして、この働きのために、私の人生のすべてを投資しました。私は、聖書を通して救い主であられるイエス様に出会い、神様の内で私の人生の変化を経験しました。弱くて見栄えのしない人生でしたが、私の力であり能力である神様を信頼し、このお方と共にいる時、すべての恐れは消え、何でもできるという勇気と確信を得ました。聖書を読むたびに新しいアイデアとビジョンを下さる神様を賛美します」と。

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